大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

京都地方裁判所 昭和41年(ワ)736号 判決 1967年1月28日

原告 大旺石油株式会社

右代表者代表取締役 井上末広

右訴訟代理人弁護士 田上義智

中垣一二三

西田温彦

更生会社東新整備株式会社管財人

被告 北栄太郎

右訴訟代理人弁護士 田辺照雄

主文

本件訴訟は昭和四一年九月三〇日訴取下によって終了した。

事実

一、原告の請求の趣旨

原告会社が更生会社東新整備株式会社に対し、手形金二〇〇万円の更生債権並びに同額の議決権を有することを確定する。

訴訟費用は被告の負担とする。

との判決を求める。

二、原告の請求の原因

東新整備株式会社は、原告に対し別紙手形目録記載の約束手形五通(合計金二〇〇万円)を振出交付し、原告は現にこれらを所持している。

しかるところ、右会社は昭和四一年四月二八日午前一〇時御庁昭和四一年(ミ)第二号会社更生手続開始申立事件につき、更生手続開始決定を受けた。

そこで原告は更生債権者として、昭和四一年五月三一日右手形債権金二〇〇万円および同額の議決権の届出をしたが、更生会社管財人たる被告は、昭和四一年六月二八日の債権調書期日において、右債権および議決権につき全面的に異議を述べた。

よって原告はその確定を求めるため本訴に及ぶ次第である。

三、原告訴訟代理人は、

「原告訴訟代理人が昭和四一年九月三〇日書面によりした訴取下は、当事者間に有効な訴訟外の和解が成立したとの錯誤にもとづいて、なされたものであるから、無効である。」と述べた。

理由

訴の取下について特別の授権のある原告訴訟代理人が、昭和四一年九月三〇日、訴取下書を提出したこと、被告が、右訴取下書提出までに、本案について、答弁書その他の準備書面を提出せず準備手続における申述または口頭弁論をしていないことは、記録上明かである。

原告は、「本件訴取下は、当事者間に有効な訴訟外の和解が成立したとの錯誤にもとづいて、なされたものであるから、無効である。」と主張するけれども、仮りに原告主張の錯誤にもとづいてなされたものとしても、訴取下は無効とならないものと解するのが相当である。

よって、主文において、本件訴訟は昭和四一年九月三〇日訴取下によって終了したと宣言する。

(裁判官 小西勝)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例